近年における目覚ましい科学技術の発展は、我々に高度で快適な生活をもたらしました。しかしその反面、利便性と快適性を求める人間の要求は限りなく肥大し、その結果、資源の濫用をもたらし、自然の浄化能力を超えた汚染等の環境問題を惹起しています。
こうしたなか、我々にとってその共通財産である自然との調和に配慮しながら、科学技術の一層の発展に取り組むことが重要であり、資源・エネルギーを効率的に利用することのみならず、地球環境への負荷を極力排除しつつ開発することが急務となっています。
とりわけ天然資源に乏しく、国民の知的創造力が最大の資源である我が国において、生産及び生活の充実を図るためには、限りある資源の有効利用により、資源の消費を抑制し、環境への負荷を軽減するとともに、負荷の少ない自然エネルギーの利用を検討しなければなりません。
しかしながら、風力や太陽エネルギー等環境への負荷の少ない代替エネルギーの開発も、その効率性の低さや開発経費の膨大さ等の壁に遮られ、なお解決すべき課題が多く、このようなエネルギーの実用化には長い年月を要すると推測されます。
したがって、環境に関する科学技術が果たすべき多様かつ重要な役割を認識し、これらの研究開発能力及び人材養成能力を強化することが、今後ますます必要となってくるものと考えられます。
ダイニチ工業株式会社は、創立以来30年以上にわたり石油燃焼機の専門メーカーとして多くの独自技術を創出し、特に灯油を気化燃焼させる、いわゆる気化式燃焼において多くの成果をあげてきました。この気化式燃焼は、他の方法に比較して燃焼性が優れ、燃焼により発生する排気ガス中に含まれるCOやNOx等の含有も少なく、省エネルギーと環境への負荷の逓減に有効であるという特質を持っています。
こうした取組状況を踏まえ、ダイニチ工業株式会社は工業技術の開発における環境問題への取組の重要性を認識し、環境に関する産業技術の試験研究及び知識の普及活動に対する助成等を行うことにより、新潟県における環境調和型の工業技術の研究及び推進に寄与することを目的とする財団の設立を決意したものであります。